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古事記伝

年は田寄(たよし)なり、〈多余お切て登となる、さて余世お余佐志とも余志とも雲る例古に多し、〉然雲故は、まづ登志とは穀のことなる、其は神の御霊以て、田に成して、天皇に寄奉賜ふゆえに雲り、〈田より寄すと雲こヽろにて、穀お登志とはいふなり、〉祈年祭祝詞に、皇神等能依左志奉牟、奥津御年乎雲々、八束穂能伊加志穂爾、皇神等能依左志奉者雲々、とあるお以知べし、〈天下に成とし成る穀は、悉く天皇に神の依し奉給ふなるお雲り、◯中略〉さて穀お一度取収るお、一年とは雲なり、〈されば登志と雲名は、穀お本にて、年月の登志は末なり、〉