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倭訓栞
前編六加
かみなづき 十月おいふ、十は数の極なれば、数皆月の義といへど、神嘗月の義なるべし、我邦の古へも西土にも、神嘗祭は十月なりし事其証多し、古説に神無月の義とし、出雲の故事おいひ伝へり、新続古今集に、
逢ふことお何にいのらん神無月おりわびしくもわかれぬる或、
大物主神の八十万神お帥ひて、天にのぼりたまふは此月也と、出雲国造家の説也、或は雷無月の義なりといへり、