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安斎随筆
後編十四
一御当家、朔日、十五日、廿八日の御礼出仕之事、朔日、十五日は昔より有し事也、御礼の事は、権現様三河に御座の時、御家人皆々三河の内、我が在所々々に居てけり、御家人は皆門徒衆なれば、廿八日寺詣して、此上下ついでには御機嫌おうかヾひし也、君御待ありて御逢被遊しと也、此例にて今も廿八日御礼ある也、或説に朔日は日の礼、十五日は月の礼、廿八日は星の礼也と雲て、廿八日も上古より御礼有る事のやうにいふは誤り也、朔〈朔日也〉望〈十五日也〉是の礼和漢ともに上古より有と、