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倭訓栞
前編三伊
いま 今おいふ、是時也と注す、日本紀にうまとも見えたり、されば濃州のあたりに、馬と今とお互に謬りたる所あり、或は如今、而今、乃今、今者、在今、今也などおよめり、いは発語、まは目の義、目前の意成べしといへり、中庸に今夫天雲々、今夫地雲々の如きは、まのあたりおもていふ辞也といへり、我邦の口語も亦然り、又説文には今急也と見ゆ、是も口語に多し、俗にやがてといふに同じ、