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経信卿母集
琵琶琴上手といふ中にも、よのつねの人にはあらざりし、ときの調子のしらべおなしては、やよひの日かずのうちに、夏のせち(○○○○)のきたるおわきまへ、う月のうちに、はるのせち(○○○○○)のあまれるおしり、なつよりあきにうつり、秋よりふゆにかはり、冬より春のたつこと、そのいんにまぎれず、よるひるの時のうつるおも、たれこめても、かいひきては、さだかにおもひえたり、〈◯下略〉