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世諺問答
十一月
問て雲、此月とうじ(○○○)と申事の侍るは、何のゆへに侍ぞや、答、白虎通に、周の世には、十一月お正月とす、これお暦家に天正月といふ、殷の世には、十二月お正月とす、人正月といへり、十一月は陽はじめて生る月なれば、冬至の日より、日かげのながくなると申也、陰陽道の暦数おかんがへて、十一月に奉るなり、朔旦冬至と申は、十一月一日の冬至に、廿年に一度づヽまはるお申なり、いとめでたき祥瑞なれば、異国にも我朝にも、御門賀辞おうけ給なり、誠に目出度事にて侍る也、