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拾芥抄
上本七十二候
正月 東風解凍 蟄虫始振(うごく) 魚上(のぼる)氷 獺祭魚 鴻雁来(/かへる) 草木萌動
二月 桃始華 倉庚(ひばり/うぐひす)鳴 鷹化為鳩 玄鳥至 雷乃発(おこす)声 始電(いなびかりす)
三月 桐始華 田鼠(うぐろもち)化為鴐(うづら/ぬかどり) 虹始見 萍(うきくさ)始生 鳴鳩払(うつ)羽〈◯礼記月令、暦林問答集、並羽上有其字、〉 戴勝降于桑
四月 螻蜮(あまかへる)鳴 蚯蚓(みヽづ)出 王瓜(ひさご/からすうり)生 苦菜(にがな)秀 靡草死(なつなかる) 小暑至〈◯小暑至三字、本書拠礼記月令在五月下、今拠暦林問答集改、下学集作麦秋至、〉
五月 蟷蜋(いほむしり)生 鵙(もず)始鳴 反舌(うぐひす)無声 鹿角解(おつ) 蝉始鳴 半夏生木菫栄(はなさく)
六月 温風始至 蟋蟀(きりきりす)居壁 鷹乃(いまし)学習(とびならふふこと/はづかひ) 腐草為蛍 土潤軟暑 大雨時行(よりより)
七月 凉風至 白露降 寒蝉鳴(つく〳〵ほうし) 鷹乃祭鳥 天地始粛(しヾまる) 登(すヽむ)穀〈◯登穀、下学集作禾乃登、〉
八月 鴻雁来 玄鳥帰 群鳥養羞 雷始収声 蟄虫坏(ます/ふさく)戸 水始涸(かる/つく)九月 鴻雁来賓 爵(すヽみ)〈◯爵、暦林問答集、下学集作雀、〉入大水為蛤(はまくり) 菊〈◯菊、礼記月今作鞠、〉有黄華 犲(おヽかみ)乃祭獣 草木黄落 蟄虫咸俯
十月 水始氷 地始凍 雉入大水為蜃(はまぐり) 虹蔵(かくれて)不見 天気上騰地気下降〈◯下学集作天気升地気降〉 閉塞而成冬
十一月 鶡旦(もず/やまどり)不鳴 虎〈◯虎、暦林問答集作武、〉始交(つるむ) 茘挺(れいてい)出 蚯蚓結(むすぼる) 麋角解(おつ) 水泉動
十二月 雁北郷(むかふ) 鵲始巣 雉〈◯雉下、暦林問答集、下学集並有始字、下文雞字下亦同、〉吼(なく/ひいなす) 雞乳(つるみす) 征鳥砺疾(はけしくとし) 水沢腹(あつく/なか)堅
 ◯按ずるに、七十二候の解釈は、上文二十四気条に引く暦林問答集に詳なり、宜しく参看すべし、