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閑窓瑣談

第一 金神家相の論〈◯中略〉
或ひは土用に土お不動といふ、夫土用は、四季に土公の在方ありて、其土お動せば殃ひ有、拠なくば土公遊行の日お用ゆべしといふ、若水辺か河の堤の下に門お構し家ありて、洪水堤お崩さんとする時、土公お怖れ土お動かさず、門の破おも防がずに置るべきか、亦秋は土公の井戸に在ますゆえに、井お掘、井戸がへすべからずといふ、左はいへども、他国は知らず、江武の町々には、初秋七月の日、年毎の例として、井戸お治(かへ)ざる所もなし、此時土公憤お発し、祟おなせし事お聞ず、是如何ぞや、