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松の落葉

五節供 今の世五節供とて、一とせのうちに五度いはふ日あり、西宮記に、七月七日内膳供御節供、〈付采女、采女付女房五、七、九日(日恐月誤、下同、)同之、但三月不入内膳式、〉とあり、五、七、九日とは五、七も日といふべきおはぶきてかヽれたるにて、五月五日、正月七日、九月九日も、七月七日に同じといふことヽきこゆ、三月三日は内膳式にはいらねども、これも同じやうにいはふ日となりぬといふこヽろにこそ、これお見れば、今の五節供の日お、昔よりいはふ日とせしことはしられつ、四節は内膳式にありて、またく同じからんには、正月七日おはじめにして、五七九月同之とあるべきに、七月七日おはじめにかヽれ、江家次第八の巻にも、七月七日のくだりに、同日、御節供内膳司付采女、采女付女房、入自鬼間北障子供朝餉と、七月七日のことおしるして、ほかのせちおはぶきたり、しかあればことにおもきにやとおもへば、延喜式なる三節、五節の中には、七月七日、三月三日は見えず、同式四十五の巻に、大儀、中儀、小儀おわかちていへるうちにも、正月七日中儀、五月五日、九月九日小儀とありて、これにももれたれば、さやうにてはあらじ、いかなることにかあらん、おもひえがたきは、老のならひにて、見しこともわすれ、考へもらして、しられぬにぞあるべき、いとくちおし、