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今昔物語
十九
髑髏報高麗僧道登恩語第卅一
今昔、高麗より此の朝に渡ける僧有けり、名おば道登と雲ふ、元興寺に住ける、功徳の為に、始めて宇治の橋お造り渡さんと思ふ心有て営ける間に、〈◯中略〉然て宇治橋おば、此道登が造り始たる也、其れお亦天人の降て造たるとも雲ふ、其れに依て大化と雲ふ年号は有けるとぞ雲ふ、此れお思ふに、道登が造けるお助て、天人の降たりけるにや、委く不知ず、此くなむ語り伝へたるとや、