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南山巡狩録

延元より興国に改元の事たしかならず、和漢合運、天野信景蔵古文書、及び下野国より堀出したる古鏡の文字等より考ふれば、延元四年にて興国に改元の如し、又元弘日記、大頭入衆日記、誉田八幡社蔵仮面裏書等の支干より案ずれば、延元五年より興国にうつりし趣なり、両説お以て正史にてらし見るに、元弘日記に載るごとく、延元五年四月廿八日(○○○○○○○○○)といふもの実お得たりといふべし、よりて今是に治定して本文にかけり、普通の年代記は和漢合運に倣へるものとみえて、延元四年の改元となせり、誤といふべし、