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塩尻
二十五
一近世の年号、古へ勘文に出て被行ざりし号多し、今其一二お抄す、
天和 貞治改元の時、文章博士在成考の内にあり、又延元の改元の時、式部大輔長員の考、貞和改元に、文章博士宗範の考、観応改元に、式部大輔長員の考の内等に出し、
慶長 元弘改元の時、文章博士在淳の考、正慶の改元に文章博士在成の考等に出たり、
慶安 正慶改元の時、正三位在登考の内に出たり、
右の外に、猶近年の年号お昔も書出されしが、難ありて止みぬるお、再び勘文お奉りて、天下の号となりしも多かり、年号さへ時に用ひられずして、又期ありて被行けるあり、人の世の挙止めらるとも其期有る事にこそ、