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海録
十五
年号と支干お一字づヽかけること、五山僧などに多かり、信長記〈巻十四九う〉作物記〈相国寺惟高撰〉に、永禄元戊午お永午とかけり、また松花堂所蔵品図の中、明岩正因墨蹟にも、文明八丙申お文申とも記せり、これら一時かヽることはやれるなるべし、そのよる所おおもふに、この頃聯珠詩格お、律髄蒲室などヽ併せて甚だ賞玩せしおりなれば、かの詩格の蒙斎が序に、年号支干一字づヽ用ひしこと見ゆるおもて、一時雷同して効頻せしにや、唐土にも蒙斎が序よりふるくは所見なし、