壒囊抄

十二

三如来とは何
如来未だ伊那郡善光が家に御座時に、推古天皇御宇、浄土の業、自余の教法に勝るヽ故に、聖徳太子、欽明、用明、并に守屋与力の逆罪お済はん為に、八人の大臣と共に時衆と成て、清凉殿にして常行三昧の念仏、七日七夜称名ありて、功徳の有無お此善光寺の如来に尋申されける、〈◯中略〉第二度には、調子丸お御使として御消息あり、其詞雲、　大慈大悲本誓願　愍念衆生如一子　是故方便従西方　誕生片州興正法〈◯中略〉　法興元(○○○)世一年〈辛巳〉十二月十五日、厩戸勝鬘上と遊しける、世間に流布して、廟中廿句の文と雲是也、〈◯中略〉第三度の御使には、甲斐の黒木調子丸二人也、黒駒に乗り、調子は究駄に乗る、其時の御消息には、　州域化縁度脱了　平等一子衆生界〈◯中略〉　口称誓願報持功　凱是固持不護念　法興元世二歳〈壬午〉八月十三日、厩戸勝鬘上と遊ばして、御表書には、進上本師如来御宝前と侍りて、班鳩厩戸上と雲々、