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逸年号考
福徳元年庚戌〈常陸赤浜妙法寺過去帳〉
甲斐妙法寺記、延徳元年の下に、〈元年に係けたるは誤にて、下の福徳二とあると、互に文字の錯乱したる也、この元お二とし、下の二お元に作るべし、〉京に王崩御とて〈王崩御は足利将軍義政の薨お誤りしとみゆ〉福徳二〈庚戌〉年と年号お改る也、〈二の元なること、下文に明かなり、◯中略〉
福徳二年辛亥〈鎌倉光明寺額裏書、新編鎌倉志、鶴岡八幡宮座不冷所著到軸、赤浜妙法寺過去帳、〉
鎌倉光明寺額裏書に、後土御門院宸筆福徳二年亥九月吉日、また鎌倉鶴岡八幡座不冷所著到軸書に、福徳二年正月一日とあり、〈◯中略〉さてこの庚戌は延徳二年庚戌、辛亥は延徳三年辛亥にあたれる事、妙法寺過去帳、延徳二三年の傍書に、福徳元福徳二とあるにて明らかなり、