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海録
十五
ある人、和州にて新撰字鏡の古写本お見たりしに、〈◯中略〉その末に、法隆寺一切経と楷書にてかきし印説ありといへり、またおなじ人の古写経の零本お得たりしに、その奥に、
 論第一巻同学抄〈破我数論〉 〈倶生分別勝論〉
  永福(○○)〈丁酉〉七月三日於法隆寺東院花園院書写
                          執事 沙門 快堂
                             伝  快弁
この偽年号、いづれの頃にや未詳、その紙質字体等お見るに、鎌倉末足利比のものとも見ゆるよしなり、