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公事根源
正月
四方拝〈◯中略〉此事いつ始まるともみえず、仁和五年〈◯寛平元年〉正月寅の刻に、天地四方属星山陵お拝し給由、宇多の御門の御記にのせられたれども、濫觴とは見えず、また皇極天皇雨お祈給とて、南淵の河上に御幸有て、四方お拝し給ければ、雨五日まで降けるよし、日本紀にのせられたれば、是などおやはじめとも申べからん、
◯按ずるに、上の三書皆宇多天皇の御記お引く、而して年中行事秘抄及び江次第抄には、寛平二年の事とし、公事根源には、仁和五年即ち寛平元年の事とす、何れお以てか正とすべき、姑く共に録して後考お俟つ、又皇極天皇の祈雨のために、四方拝し給ひしことは、元日の四方拝とは其義自ら異れば取らず、