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歌林四季物語
一春
一人の御身と申せども、あさまつりごとのはじめは、いみじく心づからの本意まもらせ給ひて、元正の寅の三つにあたるころほひ、ひんがしの御庭にみゆきなりまして、天地山陵おおがみいのらせおはしまし、御属星の御拝などなさせ給ふなるべし、これひたすら御身の御ためばかりにあらず、一とせのあまつかみくにつかみ、はふむしまでのいのりごとにて、もはら一とせのかぎりあやぶむべきわざはいおいのらせ給ふ、中臣の御はらひ、ろつこむのはらひなどあるべきにや、この事すうじんのあめがしたしろしめす、みとせにあたらせ給ふときになんはじまれり、天地四方おおがませたまふによりて、四方拝とはものするにこそ、