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年中行事歌合
二番 右 朝賀〈元日〉   前大納言
雲の上にきこえあげよとよばふらし年の始の万代の声〈◯中略〉
右、朝賀の心にて侍にや、是も元正の賀お奏する也、又こぞの目出賀瑞どもの有おしるして、今日同是お奏す、されば奏賀奏瑞とて、二人庭にすヽみ祝申也、其規式は、みかど大極殿のたかみくらにつかせ給て行せ給ふ也、礼服お著してさながら御即位のごとし、今万代の声とよめるは、旗おふりて万歳おとなふる也、大方むかしは、節会などにも万歳おとなへけるにや、されど延喜以来此事なければ、よろづよの声にて、朝賀の心はまぎれ侍るまじきにやとぞ覚え侍る、一条院正暦より後は、此事絶てなし、