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公事根源
正月
朝賀   一日
神武天皇元年正月一日、橿原の宮おたてはじめて、位につかせ給ける時、宇摩志麻治命天瑞お奏せらるヽ由、日本紀に見えたり、是などおや始とも申べき、又孝徳天皇の御宇、大化二年正月一日、御門おがみの事侍よし、同じ書にのせたり、是ぞ誠の朝拝とは申べからん、然に六十六代一条院正暦より後はあり共不承、又記録にも所見なきにや、古は大極殿も有しかば也、今は小朝拝許にぞ成にける、
◯按ずるに、宇摩志麻治命の天瑞お奏する事、日本紀に見えず、蓋し旧事本紀の神武紀に、辛酉為元年、正月庚辰朔、都橿原宮、肇即皇位、〈◯中略〉宇摩志麻治命奉献天瑞宝、〈◯中略〉于時皇子大夫率群官臣連伴造国造等、元正朝賀礼拝也、凡厥即位、賀正、建都、践祚等事、並発此時矣とあるお謂へるならん、