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友俊記
年中御作法の大概物がたり〈◯中略〉 一夜に入て元日の節会おこなはる、〈◯中略〉大中納言の御子参議、四位参議、顕職の卿相独床子、南面一列、弁、少納言独床子、東面一列、外記史独床子、東面後列、史生官掌召使等長床子、後列なり、是よりさきに、堂上殿上の公卿の間にて献おたまふ、かはらけにさくめんおもりて取給ふ、銚子提あり、内弁は清凉殿の議定所にて献あり、殿下は奏聞の内覧にまいり給ふ、〈◯中略〉刻限出御あり、命婦剣璽おとる、かた手にすえて、片手には檜扇にて顔おおほふ、次に内侍かた手に宝剣の柄の方おとりてかたにかけ、かた手に檜扇おかざす、典侍璽の筥おかた手にすえて、檜扇おおほふ、〈◯中略〉次に脂燭の殿上人、四位五位御さきに立てもつ、横行なり、次に蔵人頭、昼の御ましの御剣お両手にさヽげもつ、御柄お御前のかたにまいらす、是も横行なり、殿下は御裾おとらせらるヽ、殿の官人庭上、〈東庭階下〉立明して脂燭おさヽぐ、扶持の殿上人は女中につきてきぬのすそおたすく、主上南殿の御帳台の御倚子に著御、晴の御膳、脇の御膳、一の采女〈◯中略〉陪膳にまいる、内侍は西階にのぞみて内弁お召す、内弁兀子おたち、ねり出て南階にのぼりたまふ、開門闈司舎人まちきんだちなどの召きこえ、外弁の公卿あくおたちての標につき、諸卿再拝、外記空盃おすヽめ、諸卿再拝、西階より昇殿こんとんにすわり、一こん、二こん、三こん、立楽、内弁下殿、外記おして宣命の事お仰す、内記宣命おすヽむ、外記見参禄法等おすヽむ、入御あれば、弓場より職事おもて奏聞、内侍奏聞のうち返し下る、内弁宣命お参議の人にたまふ、諸卿下殿、宣命使版につき、宣制一段、群臣再拝、又一段、群臣再拝、上首離別禄所にむかひ、禄おたまはりて各退散、