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公事根源
正月
元日節会〈◯中略〉 抑此節会は、〈◯中略〉持統天皇四年正月に、公卿お内裏にめして、とよのあかりするとあり、〈◯中略〉神武天皇の御宇にも、群臣おつどへて酒お給し事は、日本紀に見えたり、是などおも事の発りとは申べき歟、
◯按ずるに、神武天皇の酒お群臣に賜ひし事は、日本書紀に、乙卯年八月乙未、弟滑大設牛酒以労饗皇師焉、天皇以其酒宍班賜軍卒、乃為御謡曰、〈◯中略〉是謂来目歌、今楽府奏此歌者、猶有手量大小、及音声巨細、此古之遺式也とあるに拠れり、然れども是お以て元日節会の初見とは雲ふべからず、