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大鏡
二太政大臣基経
太政大臣基経のおとヾは、長良中納言の三郎におはす、〈◯中略〉小松の御門〈◯光孝〉おしたしく見奉らせ給て、ことにふれてきやうさくにおはしますお、あはれ君かなと見たてまつらせ給けるに、よしふさのおとヾの大饗にや、むかしはみこたち、かならずつかせ給事にてわたらせ給へるに、雉足はかならずもる物にてありけるお、いかヾしけん、そんじやの御前にとりおとしてけり、はいぜんする人、みこのおまへのおとりて、まどひてそむじやのおまへにすうるお、いかヾおぼしけむ、おまへにともしたる御とのあぶらお、やおらかいけたせ給ける、〈◯下略〉