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栄花物語
三十九布引の滝
としかはりぬれば承保四年〈◯承暦元年〉といふ、〈◯中略〉二日は殿〈◯藤原師実〉に臨時客などいとめでたし、女房紅梅のにほひに、もえぎのうちたるきたり、制あればかずいつヽなり、されどわたいとあつくてすくなし共見えず、あまたあるこそあつきもあまりなれ、うちいでたるはうすきは物げなきに、いときよげにみゆ、上達部殿上人まいり給て御あそびあり、右大臣物ずむじなどせさせ給、