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古今著聞集
三公事
寛治八年正月二日、殿〈◯藤原師実〉の臨時客有けるに、左大臣、左大将〈◯源俊房〉右大臣〈◯源顕房〉内大臣〈◯藤原師通〉参たり、事はてヽ各御馬ひかれければ、三公地に下て拝し給ひけり、殿下左府随身府生下毛野敦久、右府前駆参河権守盛雅お南階の前に召て、御衣おぬぎてたまはせけり、内大臣、中納言、中将、左右よりすヽみより給て、くれないのうちあこめ御ひとへおくり出されけり、中納言中将つたへとりて、御単物おば敦久に給ひ、打衣おば盛雅に給ける、先規あれども、時にのぞみて面目ゆヽしくぞ侍けり、