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天明年中行事
正月晦日 関東御使 是は、年始御祝儀御使として、高家肝煎三人の内上京あり、参内の日限仰出され、御使所司代衣冠にて同伴、唐御門より参内、諸大夫の間より昇殿、鶴の間に著座、伝奏出席、御口上申述有、両卿言上の後、御対面有べきのよし仰出され、清凉殿御上段へ出御、両卿誘引、布障子辺に列座、御進献之御太刀折紙、伝奏披露、御使中段において竜顔お拝せらる、次に亜相公御進献の御太刀折紙、披露の次第前に同じ、次に貫首申次にて、御使所司代自分の御礼、御太刀折紙、壱人づヽ御中段へ持参有、ひさしにおいて竜顔お拝せらるヽ、次に天盃下され、中段にて一人づヽ頂戴、畢て鶴の間へ退き、御礼申退出也、参院の次第、凡右に同じ、
女院の御所へ参上之儀は、御客之間にて両局出会なり、御返答は、日限仰出され、御使の高家烏帽子直垂にて長橋の奏者所へ参上也、内院御附同伴案内にて上の間へ著座、伝奏両卿出席有、御所所よりの御返答一所に仰出され、御暇の拝領物御物仕の女中持出、両卿申渡さるヽ、又菓酒お被下、是も御物仕給仕なり、廿七日頃京著、廿八日廿九日頃参内の事も有、今は大かた廿八日頃著にて、二月朔日に日頃参内、其後御暇なり、