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幕朝年中行事歌合

一番 左 兎羹
折にあへば千代の例と成にけり雪の林に得たる兎も〈◯中略〉
判雲、兎羹の御事、歌にも言葉にも尽しぬれば、又何おかいひ出む、げにこヽらのいやしきものまでも、けふは元日なりといへば、雑煮もちいに向はぬものもなき、めでたき御代のためしなるに、雪ふみ分て狩得しお奉りしも、むかひいたまひしも、其ころの御事おふかく思ひ奉るべきこと也、されば今のよまでも年の始の御式となれる御掟、たうとしともいはむかぎりはあらじかし、