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幕朝年中行事歌合

十四番 左 新年勅使参向
にほひくる大内山の花にまた春とこたふるみねのまつ風〈◯中略〉
  右 勅使饗宴
さくら花かざす春べに成ぬとや大みや人にみあへすらしも判雲、上お尊み誠お尽し給ふ御政、むかしより今に至る迄聊かはる事なし、実に有難き御代ならずや
新年勅使参向と申は、年毎に禁裏、仙洞、中宮、東宮より勅使として、上達部お下されて歳首お賀せる、二月三月の間此事有、御たいめの日は、両御所御直垂お召れ、白書院に出させ給ひて其式あり、勅使の人々各大内よりの賜ものもて出て御前にすヽむ、有司の輩直垂、狩衣、大紋等お著けり、御返答の日もまた是におなじ、老職の人もて帰京の暇給はり、引出ものあり、勅使饗宴は、大広間の舞台にして、猿楽お興行せられ、要脚広蓋等の事あり、此日、白書院にしてあるじまうけありて、七五三の饗膳お出され、奈良台お賜ふ、出仕の面々皆熨斗目長袴お著せり、