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幕朝年中行事歌合

十二番 左 進膳
うちなびくかすみの真袖東風ふけば西の御とのにおものたつ也〈◯中略〉
判雲、うち〳〵仕る者ならでは、問安視膳の御孝道も伺ひ得ざる事おほかるべし、〈◯中略〉進膳と申は、年の始の賀に、御所の西城にならせ給ふなり、宿老少老の人々あらかじめ彼殿に参り、大広間の広庭に出仰へ奉り、西の御所にも四の間のほとりまで出迎はせ給ひ、先導有て、おまし所にいらせ給へば、御身づからのし蚫お進め、おもの参らせらる、三卿の方々にも御土器お賜ひ、御次にして饗膳お出さる、宿老少老近侍の輩にも料理おたまふ、此日西の御所に参れる人々は、皆熨斗目半袴お著せり、