俳諧一葉集
七消息
此君舎より白米五斗、発句一句、
一に俵ふまへて越よとしの坂
かくめぐみ給ふに、隻四壁なるかりのすまひには過たる年だまながら、寝覚ごヽろよくて、
元日や畳の上に米だわら 北枝
さて〳〵感心不斜、神代のこともおもはるヽと雲ける句の下にたヽん事かたく候、神代の句は、守武神主相応に情の奇なる処御座候、米俵は、其元相応に姿の妙なる処有之候、別て歳旦歳暮不相応なるは、名句にても、感概なきものに候、今年天下第一の歳旦なるべしと、京大津の作者も致称美候、不備、
正月廿四日 芭蕉
北枝様
一に俵ふまへて越よとしの坂
かくめぐみ給ふに、隻四壁なるかりのすまひには過たる年だまながら、寝覚ごヽろよくて、
元日や畳の上に米だわら 北枝
さて〳〵感心不斜、神代のこともおもはるヽと雲ける句の下にたヽん事かたく候、神代の句は、守武神主相応に情の奇なる処御座候、米俵は、其元相応に姿の妙なる処有之候、別て歳旦歳暮不相応なるは、名句にても、感概なきものに候、今年天下第一の歳旦なるべしと、京大津の作者も致称美候、不備、
正月廿四日 芭蕉
北枝様