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世諺問答
正月 問て雲、元三の日は、屠蘇白散の酒お呑と雲事ありや、屠蘇とはいかなるいはれにてなづけ侍るにや、答、此ことは医心方、金谷園記などいふ書にしるせり、屠蘇は草庵の名なり、むかし草の庵りに住ける人の、此薬おその里の人のかたへおくりて、大晦日に井の中にひたして、元日にとりいだして、酒樽にひたしてこれおのまば、其年疫気におかさるまじきといへり、一人これおのめば一家に病なし、一家にのめば一里に病なしといふ功能侍り、