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礼容筆粋

屠蘇酒之事
正月朔日に三酒お奉るべき事、屠蘇白散度障散是也、屠蘇おば紅の袋に入、晦日の暮亥の刻より、井の水一尺程上にくヽりさげ、元朝寅刻に取あげ、柳の枝にゆひつけ酒の中へ入、柳お長柄に持添て御酌に参るべし、三つ盃お公卿にすえ、上の盃一つにて三献のむ也、座中の少年より始むべし、 二献目は白散、別の御銚子にて参らすべし、白散お盃の中へかきたてまいらすべし、三献目は度障散、是も別の御銚子にて可参候、銚子の中へ入、かきたてヽ可参也、かくのごときの時は、銚子おつヽみ申さぬもの也、是則祝儀の礼儀也、何れも三献づヽ合て九献也、