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源氏物語
二十三初音
春のおとヾのおまへ、とり分て、梅の香も、みすの内の匂ひに吹きまがひて、いける仏の御国と覚ゆ、さすがに打とけて、やすらかに住なしたまへり、さぶらふ人々も、わかやかにすぐれたるお、姫君の御方にとえらせ給て、すこしおとなびたるかぎり、中々よし〳〵しく、さうぞく有様よりはじめて、めやすくもてつけて、援かしこに群居つヽ、歯固のいはひして、もちひかがみおさへとりよせて、千年のかげにしるき、としの内の祝ごとどもして、そぼれあへるに、〈◯下略〉