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日本歳時記
二正月
荊楚歳時記に、〈◯中略〉正月は初年なるおもつて、時俗おもんじて以て節とすといへり、今の世民間にも、年始に親戚宴会するお節会といふも、かヽる縁にや、されば此月世人おほく親戚お宴会す、〈◯註略〉しかれども歳初に、男女すでに親戚の家に互に往来して会面しぬ、且此月世上饗応しげくして約期多く、閑日お得事すくなし、しば〳〵使お馳て晦日お問に労し、又世人此月多は飲食に酔飽して、宴会お以て却て厭ふ事とす、しかれば二三月天気和暖の頃、鳥諦花開時に至て親戚お饗すべし、是人の宴饗お悦楽する時なり、古人花樹宗会の法も、二三月花開時なるべし、〈◯中略〉しかれども親戚すくなき人、或は父子兄弟、其外にも親密なるともがらは、亦情に任すべし、