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日本歳時記
一正月
元日、〈◯中略〉礼終て春盤おなむ、 和国の風俗にて、盤上に松竹、鶴亀などお作てすへ、栗、榧、海藻、海鰕、みかん、かうじ、たちばな、米、柿などつみかさねて、これおなむ、歳初に来る賀客にも是おすヽむ、是お蓬萊といふ、蓬萊は仙嶋なれば、その名とするならし、もろこしにも春餅生菜などお盤上に盛、春盤と名付て、なむる事あるよし、四時宝鏡に見えたり、さればこそ杜子美が詩にも、春盤細生菜とつくれり、また周処が風土記に、正旦楚人五辛盤お上る事おしるせり、かうやうの遺意にや侍らん、