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日本歳時記
一正月
元日、〈◯中略〉ふるとし製し置たる糕(もち)に、こんぶ、打あはび、煎海参、牛蒡、薯蕷、菘、粟、するめ、蘿蔔、いもし、〈元日にいもしあらめなど用る事、延喜式にみゆ、貫之が土佐日記にも、いもしあらめはがためもなしとかけり、〉などお加へ煮て羹とし食ふ、俗にこれお名付て雑煮といふ、我国の風俗にて、悦ばしき事には糕お作りて祝ふ、此日より三日に至るまで糕おすヽむるも、春お祝ふ意なるべし、もろこしにも元日に膠牙糖おくらふ事、荊楚歳時記にのせ、立春の日春餅おすヽむる事、月令広義にみえたり、