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世諺問答考証

かヾみ、〈◯中略〉瑜案ずるに、餅といふ名は同うして、物は同じからねど、正月元日に祝ひて喰ふことは、唐山にも似たる事侍り、月令広義曰、餛飩、俗名扁食、燕都元旦晨起、当家者率妻拏、羅拝天地祖禰、作扁食奉長上為寿、以次交相酬賀といへり、遵生八揃、花紅餅方、用手圧扁とあれば、扁食はおしひらめたる食なり、又熙朝楽事曰、正月朔日、民間設奠於祠堂、次拝家長、為椒柏之酒、以待親戚隣里、以春餅為上供とも見ゆ、是も月令広義に、春餅者薄剤、煿菜肉裹食也といへるによれば、邦俗のいはゆるもちいとは格別のたがひ也、〈◯中略〉又案ずるに、蚩猶が肉にたとへて餅おくふといふ事、いまだより所お得はべらず、識者の教おまちて補ふべし、