山之井
春
雪などふる朝は、さほ姫のねりかづきとも、年徳の白木綿花ともいひたつ、松の内に降雨はおさがりといひならはせり、あめのしたのこぼれ幸など、めでたくいひなす、
おさがりはあまのさかほこの雫哉 了三、〈◯中略〉都て正月は、世のつねにかはる事のみぞおほき、鼠およめがきみとよび、なまこおたはらごとなづけ、朝夕のねつおきつおも、いねつむいねおさむなどいひ、猶ひらきまめ、いものかみなどやうにいひつけたることわざ、こと〴〵しるすもうるさければなん、思ひ出て句にしつらねば、其ことのきヽにくからず、あまりに賤しからぬおぞいひ侍るべきにや、
おさがりはあまのさかほこの雫哉 了三、〈◯中略〉都て正月は、世のつねにかはる事のみぞおほき、鼠およめがきみとよび、なまこおたはらごとなづけ、朝夕のねつおきつおも、いねつむいねおさむなどいひ、猶ひらきまめ、いものかみなどやうにいひつけたることわざ、こと〴〵しるすもうるさければなん、思ひ出て句にしつらねば、其ことのきヽにくからず、あまりに賤しからぬおぞいひ侍るべきにや、