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歌林四季物語
一春
正月 四方拝の神さびたる御事よ、〈◯中略〉天がしたゆたかに、国ひさしかれとの御うけひにて、ちはやぶる神の御心おとらせ給ふ事、御つぼ〳〵のあたり、みあらかのたヾずまひ、かにもりのつかさの、はヽきとり〴〵につかふまつり、けがれおやらひやるに、さヽやかなるわらはの、年たつ朝よろこびて、そこら塵なで、御このみのあまりうちやりたるお、おのこにもあらで、はヽきつかうまつり、はしたなのうへわらはなど、鼻にかけて守るに、御しらすのかたすないものまうしの御かくどものすれば、うたまひのつかさ、なれたる上のきぬ引かけて、とのもりのきよめたらはしなど、声ゆがみ老だつつかさこヽら行かふに、とかくして御わざことおはり、御ゆきならせおはしませば、御薬のつかさとうしあけつかうまつりたる、とそびやくさん、どさうさん、とうやくなど、宮内のかんのつかさ蔵人につたへ奉れり、