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本朝世事談綺

万歳 六十六代一条院の朝、長徳のころ、大江定基参河守に任てければ、その国の民ども、毎としのはじめに来り、千歳楽、万歳楽と舞かなでけり、定基は仏乗に帰して、横川の源信僧都に法お受て、一向釈氏の学びにふかヽりければ、仏教伝来の因縁お述て、刈谷の郷の庄司吉郎大夫といふものにあたへて、年の旦に舞せけり、是万歳のはじめ、今以三河の国より来る、