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閑田耕筆

千秋万歳は大和より出る者一種類也、万歳村有とぞ、河内、三河などより出るも其類歟、京都にては陰陽家の人小泉より出、これは禁裏、仙洞、后宮など計へ参りて、世にあまねくはしらず、寿詞五段頗古雅にて、大鼔一調おもてはやすとなん、彼大和の者はあまねく民間おもめぐり、舞ぶり詞がらもやヽくだりてけぢかく十余段小鼔もてはやすさま世にしるごとし、因にいふ、彼唱歌にとくわかに御万歳といふ詞、何ごとヽも知がたきお、或人いふ、とこ若にて、とことはに若きのいひ也と、又やしよめ〳〵京の町のやしよめといふこと有、これもやさめにて、艶しきめといへる也、京の町のと重ねたるにてしるべしとなん、