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近世事物考
宝船、〈◯中略〉近き頃まで終晦日にせしなり、季吟の句にも、よべは舟あすはふくわら式さ法とあり、是よべは俗にゆふべにて、昨夜は舟お枕に敷、けさは元日にて、福わらとて新敷菰お門口に敷たるおよめるなり、季吟は元禄の頃の人にて、芭蕉の師なり、されば此頃迄は、舟は晦日に敷たるなり、正月二日に成たるは、至て近き頃なり、