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守貞漫稿
二十六
正月二日 今夜宝船の絵お枕下にしきて寝る也、〈昔は節分の夜行之、伊勢伊勢守、足利幕府進上之、将軍大引、其他小引、下は引合、末女は杉原、皆紙名也、〉今世禁裏に用ひ玉ふは、舟に米俵お積むの図也、〈印板なり〉民間に売る者は、七福神或は宝尽等お画く、〈宝尽、丁子、打出槌、分銅、かくれ蓑、かくれ笠等也、鍵、七宝、〉京坂は近世廃衰す、江戸は今も専ら元日二日の宵に、小民売之巡る、宝船の印紙に、道中双六の印紙お兼売る、其詞曰、道中双六、おたから〳〵、今夜の夢お初夢と雲、故に吉夢お見んと宝船おしくこと也、