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不忍文庫画譜
睦月に用る宝船のえは、いつの頃より始りぬるにや、大永のころ巽阿弥が記にみえたれば、其前よりや行はれぬらむ、いでや此一ひらは、かけまくもかしこき後水尾院、貘字お書せ給ひて、御手づから板にえらせ玉ひしとて、今も勘使所にひめおかるとかや、是おすりうつして、年ごとのむ月二日に諸臣に賜はるによりて、年おへてやつれぬれば、いまは新にものせしお賜ふとぞ、然るにこれなむ御製作の板おすれるとみえて、いとこだいにて、かしこくともかしこし、六十八翁源弘賢敬書