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嬉遊笑覧
八忌諱
初夢、〈◯中略〉浮生が滑稽太平記に、〈◯中略〉たからの舟も浮ぶ泉水、〈玄札〉この宝舟は、種々の宝お舟に積たる処お絵にかきて、ながきよのとおのねぶりのみなめざめなみのりふねのおとのよきかな、といふ廻文の歌お書添て、元日か二日の夜敷寝に、悪き夢お川へ流す呪事なりとぞ、〈◯中略〉おとは音なるべければ、おとのかななり、廻文なれば拘はらぬにや、いつの頃の歌ともいまだ定かならず、〈◯中略〉また日本風土記〈五〉琴譜廻文詞とて、この歌お載たり、〈◯中略〉なにお伝へて琴譜といへるか、そのかみ三弦などにて、此歌お弾たるにてもあるべし、