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幕朝年中行事歌合

三番 左 掃初
諸人のこヽろの蔯もはらへとてけふとりそむる玉はヾきかな〈◯中略〉
判雲、むかしより、老そく中のすぐる老、箒取て此御式したまふ事とかや、今は何となう似気なき様なれども、昔の御事はすべて親く、且はことそぎたれば、おもきもかろきも、有のまヽにうちふるまへる有様しるくなん、 三日参賀は、もとより三朝の御式、替らぬ御事ながら、箒取て世の蔯おはらいつヽ、ゆらく玉の緒、末久にさかえむ御代の此世の尽きぬ御ことほぎと成ぬる社ありがたけれ、 掃初と申は、老職の人、年闌たる人、年男といふ事うけたまはり、二日の朝とく出仕有て、箒お携へて、おまし所の恵方に向ひはヽきお入る也、少老御側の衆是にそふ、