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諸国図会年中行事大成
一正月
二日、角倉船乗始、〈◯中略〉其式、高瀬川筋角倉家の前なる入江に、舟二艘お飾る、一艘は当主舟、一艘は舟歌舟なり、寅の刻、当主及び老臣監舟の士乗船ありて、入江お七度計漕廻る、此時船中に於て祝儀の酒宴あり、又謡及び舟歌お唱ふ、爾して後舟の表に備ふる所の饅頭お舟中へまき、又路上へ撒く、是お得て懐中すれば難船の患なしと、よりて海上往返の商家、競ふてこれお求むる者群おなす、
◯按ずるに、慶長十三年、角倉光好、加茂川お引きて高瀬川お開く、後幕府の命により、世々高瀬川の舟お司る、