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壒囊抄

正月七日の七草のあつものと雲は、七種は何々ぞ、七種と雲は、異説ある歟、不一准、或歌には、 せりなづな五行たびらく仏座あしなみヽなし是や七種 芹五行なづなはこべら仏座すヾなみみなし是や七くさ 又或日記には、薺(なづな)、蘩蔞(はこべら)、五行、すヾしろ、仏座、田びらこ、是等也と雲々、但正月七日七草お献ずと雲事更になし、年中行事には、七日白馬節会及叙位事、兵部省の御弓の奏事と許り記して、七草と雲事なし、十五日にこそ献七種御粥事と註し侍れ、又資隆卿八条院へ書進する簾中抄此定也、彼抄名物也、凱浮ける事あらんや、又禁中の事、年中行事にしかんや、既に癈まで註せり、争か当時事漏哉、傍不審事也、作去諸人皆七日と思へり、何なる事歟、人に可尋也、