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厳有院殿御実紀

承応元年正月十一日、具足の御祝あり、黒木書院に歯朶の甲冑、ならびに行平の御太刀、国宗の陣刀、三原の陣脇差お飾らる、酒井雅楽頭忠清役す、かくて中袴めして出御あり、井伊掃部頭直孝、酒井讃岐守忠勝相謁し、熨斗御酒ならびに餅お供し、掃部頭直孝伴食に候ず、御一献ありて、直孝御盃お給はり、持ながら退く、保科肥後守正之、松平右京大夫頼重、井伊靫負佐直滋、永井信濃守尚政拝し、次に普代の衆拝し、次に廊下にて其他の輩拝し、おの〳〵御祝の餅酒給はる、今朝松平伊豆守信綱令しけるは、御代々この廿日に具足御祝ありといへども、先代の御忌辰なるにより、今より後は十一日お永例と定らるヽとなり、