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嬉遊笑覧
八方術
田舎にては、いつにても農業お休みてあそぶお、正月といふ、これ年の初め、遊び居る事にたとへて雲しにあらず、其起りは、何ぞの呪にてせし事と見えたり、寛文七年未七月六日町触、今度、在々所々にて、松飾りお仕り、正月お祝ひ申由にて、江戸近辺の町屋迄、其通り、此月は祝ひ申由相聞候、就夫御代官所へも、無用可仕旨被仰渡候間、江戸町中にても、右の通正月お祝ひ申事、堅無用に可仕候雲々、始めはかやうに松かざり何くれと正月の如くせし事なり、